札幌市で起きた連続8件の女性暴行事件で
強姦(ごうかん)や強盗などの罪に問われた
札幌市消防局レスキュー隊の元消防士長中沢祐介被告(29)の
判決公判が11日、札幌地裁であり、
井上豊裁判長は懲役30年(求刑無期懲役)を言い渡した。
井上裁判長は判決理由で
「手口は卑劣かつ悪質で、被害者の心の傷は計り知れない。
現役消防士の犯行であり社会的影響は大きい」と指摘した。
判決によると、中沢被告は2006年4月から07年8月にかけ、
女性の後をつけてマンションに侵入し
「静かにしないと殺す」と脅して
人けのない非常階段などに連れ込む手口で、
当時17―24歳の女性8人を乱暴したほか、
現金やバッグなど計60万円相当を奪った。
スポーツ報知女性6人をレイプ、8人から約70万円を強取した起訴事実を認める。
「一体、あなたは女性というものに対して
どういった認識を持っていましたか?
人格のある人間として見ていましたか?」
法廷での検察官の質問に、中澤祐介被告(29)は
「…そういう風に思えなかったから(犯行を)繰り返したと思います」
と力なく答えた。
酒を飲み、夜な夜な若い女性の後をつけて次々に襲い、
レイプ、強盗を繰り返した畜生にも劣るこの男には、
たとえ検察官でなくともこう言いたくなるだろう。
昨年8月24日に強姦致傷と強盗の容疑で
逮捕された札幌市の元レスキュー隊員(昨年9月3日付で懲戒免職)
中澤被告の初公判が6日午前10時30分から、
札幌地裁(井上豊裁判長)で開かれた。
起訴状などによると、
中澤被告は2006年4月から07年8月までの間に、
札幌市中央区と白石区で当時17〜24歳までの女性8人に対して、
金品を強取するとともに強姦する目的で後をつけ、
女性の自宅マンション内などにおいて暴行や脅迫を加え、
うち6人をレイプ(3人が負傷)、
8人全員から現金計約68万円と計約8万円相当の物品を奪ったとして、
強盗強姦と住居侵入の罪に問われている。
看守に伴われ、緊張した面持ちで入廷した中澤被告は
坊主頭に黒いスーツ姿。身長190センチ、体重108キロ、
靴のサイズ30センチの頑強な体格には迫力があった。
人定質問で証言台の前に立った中沢被告は、
指先まで伸ばした気を付けの姿勢をとり、
井上裁判長の質問に「中澤祐介です」など
名前や生年月日をハッキリと答えた。
被告人席に着くと、罪状認否に先立って渡された
起訴状を検察官の朗読に合わせて真剣にめくっていた。
以下は、初公判で検察側が明らかにした
中澤被告の犯行。(起訴の日付け順に被害者A〜H)
■2006年4月15日 被害女性Eさん(23)
Eさんが自宅のドアを閉めようとしたところ、
被告が外から開けて室内に侵入。
玄関で両手で首を絞めて「大人しくしろ、金を出せ」と脅し、
顔面を殴った。
Eさんは別の部屋に逃げて抵抗したが、
押さえつけ脇腹を数回殴り、
レイプして、現金60万円と財布を奪った。
被害者は全身打撲などで加療10日間。住居侵入、強盗強姦。
■2006年7月22日 被害女性Gさん(24)
オートロックのマンションに住民を装ってGさんの後に続いて侵入。
一緒に乗り込んだエレベーターで背後から口を塞ぎ
「何もしないから金を出せ」と脅し、財布から300円を奪った。
胸や陰部を触り「非常口に行こう」などと言ったが、
Gさんがエレベーターの階数ボタンを押すなどして抵抗し、
エレベーターが1階へと動き出すと、
被告は誰かが1階にいると考え逃走した。住居侵入、強盗強姦未遂。
■2007年2月8日 被害女性Fさん(21)
オートロックのマンションに住民を装ってFさんの後に続いて侵入。
一緒に乗り込んだエレベーターで背後から両腕で抱え込む。
Fさんが手足をバタつかせ大声を出すと
「静かにしろ、静かにしないと殺すからな」と脅し、
マフラーで目隠しをして顔面に頭突きした。
仰向けに倒れたFさんをレイプし、ハンドバッグを奪って
中から現金4,000円を強取した。住居侵入、強盗強姦。
■2007年2月19日 被害女性Dさん(24)
オートロックのマンションに住民を装ってDさんの後に続いて侵入し、
先にエレベーターに乗り込みDさんの腕を掴んで引き入れる。
背後から腕を首に回して
「静かにしろ、痛いことされたくないでしょ」と脅し、
現金1万4,000円を奪った。
マンションの非常階段踊り場に連れて行き、
マフラーで目隠しをしてレイプした。住居侵入、強盗強姦。
■2007年4月14日 被害女性Aさん(22)
Aさんのマンション内で背後から口を塞ぎ、
マンション駐車場まで引きずり、
Aさんが手足をバタつかせて抵抗すると、
壁に押し付けて「大人しくしろ、痛いことはいやだろ」と脅した。
レイプし、バッグから現金5万円と財布を奪い
「言ったらどうなるか分かってるな。誰にも言うな」と口止めして逃走した。
被害者は加療約1週間。住居侵入、強盗強姦。
■2007年4月26日 被害女性Cさん(17)
地下鉄でCさんを見つけ、自宅マンションまで後をつけた。
マンションの構造から一人暮らしいではないと考えて
玄関前で押さえつけ「騒ぐな、大人しくしてれば何もしない」
と脅して地下の自転車置き場に連れて行きレイプした。
バッグから現金7,000円と財布、携帯電話を奪い
「お前、このこと誰かに言ったら分かってるんだろうな。
こんなこと誰にも言えないよな」と口止めして逃走した。
住居侵入、強盗強姦。
■2007年7月10日 被害女性Hさん(19)
自宅で飲酒した後、外に出て目星の女性の後をつけ、
女性のマンション内で襲おうとするが抵抗されて失敗した。
直後、同じマンションに住むHさんを発見し、
マンションの風徐室内で押され付けて「大人しくしろ」と脅し、
腹部を数回殴った。
転倒したHさんが大声で叫んだため、
レイプを断念して現金5,000円と財布を奪い、
頭部を数回殴って逃走した。被害者は全治8日間のけが。
住居侵入、強盗強姦未遂。
■2007年8月2日 被害女性Bさん(24)
Bさんのマンションのエレベーター内で襲いかかり
「静かにしろ、静かにしないと殺すぞ」と言い、
マンション9階の非常口踊り場に連れて行きバッグを取り上げた。
Bさんが手足をバタつかせて抵抗すると、
身体を持ち上げて外に身を乗り出させる形で階下を見せ
「殺すぞ。9階から捨てるぞ、高いぞ」と脅してレイプした。
バッグとデジタルオーディオプレイヤー、携帯電話を奪った。
住居侵入、強盗強姦。
罪状認否では
「すべて私のやったことに間違いありません」と起訴事実を認めたが、
「ただ、金銭の件(2006年4月15日の被害者Eさんの事件)について
60万円とありましたが、私は45万円くらいの記憶であったと思います。
金をとる意思については
最初から強く思っていた訳ではありません」と述べた。
検察官は冒頭陳述で
「被告は消費者金融に借金があり、
平成18年6月には総額1,000万円を超える借金があった。
債務整理を行い月々返済していたが、
その後も遊興費欲しさに借金を重ねた。
勤務時間の関係などから性交渉が持てず欲求不満の状態で、
嫌がる女性を力づくで人気のない場所に連れて行くことや犯すことで
興奮を得ようとしていた」と犯行の動機を指摘した。
一方、弁護人は起訴事実を大筋で認めながらも、
「Eさんの件で被告は奪った金額を40数万円と記憶している。
また、いずれの件においても被告は強姦が主たる目的であり、
ついでに金品を取ろうという意思がなかったわけではないが、
積極的に意欲した訳ではなく、一連の流れの中で強盗した」
と一部で争う姿勢を見せた。
午後から行われた被告人質問では、
被告と弁護人、検察官の間で次のようなやりとりがあった。
弁護人−8月に逮捕されてから10カ月、
取り調べにはどう応じてきたか。
被告−−正直に真実を話すことで少しでも償いになればと思い、
誠心誠意話してきた。
(Eさんの件で)奪った金は全額、消費者金融への
返済3カ月分に充てた。返済は月々15万円程度なので
45万円前後だったと記憶している
弁護人−自分でなぜこんなことをしたと思うか。
被告−−全事件の前に飲酒していた。
いつも人の倍以上のアルコールを飲む。
(酔うと)陽気になると言うより気持ちが大きくなる。
酒を理由にはしたくないが全くないとは言えない。
(借金のことで)精神的不安もあった。
しかし、自分の自制心が大幅に欠けていたこと、
自分の精神的弱さから出たものだと思う。
犯行の後、罪の意識で悩んだりもした。
自首も考えたができずに今思えば恥ずかしいことだと思う。
弁護人−あなたは相当期間、服役することになると思うが。
被告−−当然だと思う。
私が被害者から奪ってしまったものは
お金や財布などだけではなく、
すべて…夢や希望も奪ってしまった。
刑務所の中の事はわからないが、
被害者や社会のためになることがあるならば
進んで取り組みたいと思う。
(弁護人から最後に「言えなかったことはあるか」と聞かれると、
立ちあがって気を付けをし、
「被害者の方々にはお詫びの言葉もありません。
一生をかけて償っていきます。申し訳ありませんでした」と一礼し、
振り返って傍聴席に「申し訳ありませんでした」と再度述べた)
検察官−Fさんは大声を出して抵抗しているが
人が来るとは思わなかったのか。
被告−−その時は、ただただ女性に対して襲いたい、
性的欲求を満たしたいと思っていた。
検察官−このような犯行を社会の普通の人ができると思うか。
被告−−いいえ。
検察官−罪の意識があったと言うが、なぜ繰り返したのか。
被告−−日々の悩み、ストレスが積もり積もって
爆発してしまったということだと思う。
検察官−あなたは被害者に対し